「シルクロード軍団」との出会い!
[ 99.海外, f.出会い, 著者:賀曽利隆]
旅する魅力は毎日、いろいろな人たちに出会えることだ。「甲信編」でも劇的な出会いが何度もあったが、一番の驚きは「シルクロード軍団」のメンバーのみなさんたちとの出会いだった。「シルクロード軍団」というのは、昨年の8月から10月にかけて中国の天津からトルコのイスタンブールまで1万3000キロあまりを一緒にバイクで走り抜いた仲間のことだ。2ヵ月あまりの苦楽をともにした仲間なので「戦友」のような連帯感がある。第45日目の12月21日は、一晩泊まった長野県春日温泉の国民宿舎「もちづき荘」を午前9時に出発し、第1湯目の布施温泉の日帰り湯「布施温泉」の湯に入り、つづけて第2湯目の望月温泉「みどりの村」の湯に入った。大浴場、露天風呂ともに源泉掛け流し。湯のゆさもあってか、わかりにくい場所にあるのにもかかわらず、けっこう入浴客がきていた。湯から上がり、まさに出ようとしたときのことだ。券売機で入浴券を買った人が後ろを振り向いた。その人が何と「シルクロード軍団」の斉藤さんだった。「今夜は我らシルクロード軍団の忘年会をしましょう!」ということになり、地図を見ながらその夜の宿を海ノ口温泉にし、すぐさま海ノ口温泉の「和泉館」に電話すると、一発で宿がとれた。その夜、我々は海ノ口温泉の「和泉館」で合流すると、食堂でビールで乾杯! そのあと斉藤さん持参の年代ものの「ボルドー」をいただいた。赤ワインを飲みながら「シルクロード横断」の積る話に花を咲かせるのだった。第48日目の12月24日は山梨県の一之橋温泉「一之橋館」で朝湯に入り、そのあとで朝食を食べようと大広間に行くと、なんとなんと「シルクロード軍団」の長谷川さんがぼくを待ち構えていたのだ。ほんとうに驚いたが、その驚きが何ともまたうれしいものなのだ。長谷川さんと納豆、目玉焼き、塩ジャケ、なめこおろし、黒豆、酢の物、漬物といった宿の朝食を一緒に食べ、食後はお茶を飲みながらの「シルクロード談義」で話がつきない。ぼくは「シルクロード横断」では長谷川さんにすごく助けられた。「中国風邪」にこっぴどくやられてダウン寸前だったとき、長谷川さんにいただいた薬のおかげでひと晩眠ることができ、かろうじてバイクで走りつづけることができた。中央アジアではひと晩に10回以上もの猛烈な下痢に見舞われた。それが2夜連続でつづいた。そのときも長谷川さんにいただいた薬で治った。そんな長谷川さんは一之橋温泉のすぐ近くの牧丘に別荘を持っている。「一之橋館」を出発すると、プリウスの後ろについて走り、長谷川さんの別荘に行った。すばらしいところで、牧丘の町並みや果樹園を見下ろし、真正面には御坂山地の山並みの上に突き出ている富士山を眺めた。牧丘でも一、二の富士山のビューポイントだ。長谷川さんのお宅は別荘などというものではなく、大変な豪邸で、「ここを終の住まいにしようと思っているのですよ」というほどのもの。「カソリさん、いつでも泊まって下さいね」といって、ビジター用の寝室も見せてもらった。なんとも忘れることのできない「シルクロード軍団」との驚きの出会いだった。


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